初めまして、設計チームの中村です。
ここでは私達がどのような考え方で建物の設計をしていくのかという過程を解説することによって、皆様が建築の面白さを身近に感じ、興味を持って頂けたらという思いを込めて、なるべく分かりやすく解説、自慢(笑)をしていきたいと思いますのでどうかよろしくお願いします。
改装前の「いいとも」さんの写真です。
打ち合わせの中で出てきた要望を大まかに挙げると。
1.複雑な厨房動線を簡素化して働きやすくしたい。
2.厨房が壁や棚で囲われているので、お客様とのコミュニケーションが取れないのを改善したい。
という2つの要望でした。
デザインは後で何とでもなりますので、まずは施主さんの要望を満たし、且つお客様目線で平面計画を考えます。
今回の解決方法は以下の通り。
1.厨房の複雑な動線をまっすぐな動線に変更。そして以前より細長くなった厨房にカウンター席を沿わせるプランニングとした。
2.厨房内に散りばめられてた収納群により目線の抜けが悪かったので、収納スペースを集約、増設し、オープンキッチン寄りに変更。
要望はこの2点で解決しました。
あとはデザインです。
施主さんからは「おまかせします」という感じでしたので、自分の頭の中にストックしていた「やってみたいこと」を引き出してみようという感じでデザインしてみました。
私もそこそこに年を重ねました。
もう若くはないです(笑)
若い頃はシンプルなものに憧れて建築のデザインらしきものをしていましたが、今ではもうその方向にあまり興味がなくなってしまいました。
これからの自分がやってみたいデザインの方向性は、 上手く言えませんが「一癖あるもの?」という感じです。
シンプルで当たり障りのないものではなく、何かしら心に残る、記憶に残る。そんな感じのデザインをしていきたいという感じです。
その他にも気を付けている事が幾つかありますが、折に触れて 発言していきたいと思います。
これからの自分がやってみたいデザインの方向性は、 上手く言えませんが「一癖あるもの?」という感じです。
シンプルで当たり障りのないものではなく、何かしら心に残る、記憶に残る。そんな感じのデザインをしていきたいという感じです。
その他にも気を付けている事が幾つかありますが、折に触れて 発言していきたいと思います。
この時、なんとなく自分の頭の中にあったのはレトロ感。
それを魅力的に表現したいという感じでした。
それを魅力的に表現したいという感じでした。
では部分的に解説していきましょう。
今回はまず壁をどうにかしたいと思いました。
既存の壁の状態は床用の複合フローリングが貼られ、所々にお酒を陳列している棚やドリンク用の冷蔵ショーケースが置かれているという状況で、見た目には少々乱雑に見えてました(施主さん、ごめんなさい笑)
またこの店舗の建物本体は鉄骨造3階建てであり、この1階である壁には鉄骨柱の立っている箇所が4箇所出っ張っていました。
この目立つ壁面を意匠的にお客様のつかみになるものに変えてみたいと思いました。
そこで考えたのは、木のルーバー(縦格子)仕上げです。
まず既存の壁は黒く塗ります。とりあえず解体しないのでお金がかかりません。
塗装費だけです。そしてその上に間柱を半割にした木材を隙間を空けて貼っていきます。
規格流通材なので安価です。
問題の壁の出っ張りですが、出っ張ったところを隠すように木材の取り付け位置を調整してしまえば、木材の方が主張するので目の錯覚でほぼ見えなくなります。
既存壁を黒に塗った理由は木材の色とのギャップを生じさせ、木材の方をきちんと視覚的に浮かび上がらせるためです。
既存壁に木製ルーバーのフィルターをかけることで、壁の意匠性を高めつつ隠したい壁の出っ張りもカバーするという一石二鳥。
優秀な設計とは時には一石三鳥、四鳥も狙っていくのものだと思います。
しかもローコストで実現可能であること。
お金をかければ何でもできますが、限られた予算で最大の効果を出せるということは、とても大切な設計のバランス感覚です。
次回は他の部分について解説していきます。