焚火について

設計チーム中村です。

今回は仕事とは別のことを書きたいと思います。

最近始めた趣味について書こうと思いますが、その趣味とは「焚火」です。

 

昔からアウトドアは時々やっていて、テント、テーブル、チェア、タープ、3バーナーコンロなどの道具を少しづつ揃えていきました。これだけあれば屋外で料理ができます。

高知にいた頃はサーフィンをやっていましたので、金曜日の夜になるとキャンプ道具とサーフボードを車に積み込み海へ出発。そして仲間と現地で合流し海辺でアウトドアパーティー。

といってもその頃は料理というよりほとんどバーベキューでした。

翌日早朝から海に入り波乗り、疲れたら海から上がってまた飲む。というような遊びをしていました。

しかし職場が変わり、仕事が忙しくなり、しばらくアウトドアから離れる期間が10年くらい続きます。

いつかまた行きたいなと思いながらも、良いきっかけがなく日々を過ごしていました。

ところが、ある日車検に訪れたディーラーさんでの待ち合い時間。たまたま手に取ったアウトドア雑誌によって僕の運命は大きく変わります。

 

その雑誌にとてもいい写真が載っていました。

60代くらいのおじさんが、森の中で椅子に座って本を読んでいます。

傍らには愛犬、木々の間にはハンモックが架けられ、テーブルにはウィスキー白州のコレクションが10本程並び、そして焚火台で薪が静かに燃えている。

 

これだ!と思いました。

この空間に流れる時間は、本当の意味でとても贅沢だと。

 

森の透明な空気

鳥の鳴き声

薪のはじける音

お気に入りのお酒の味

最高の文学…

これは最高の演出、もてなし、だと思ったのです。

 

建築はいつも、ほとんどの場合形をデザインして提供します。

しかしこの写真の中にはデザインしたものはない。

なのにこの森の空間は、なぜこんなにも豊かで魅力的なんだろうと思いました。

そしてこの様に人がわくわくするような場をデザインしてみたいと強く思いました。

 

話は変わりますが、僕は本当は「デザイン」という言葉が好きじゃありません(笑)

なんか偉そうじゃないですか。

自然界にある風景や動植物が美しすぎて、人間がデザインなんて無理にしなくても十分心は満たされるよ。と思ってしまう。

最近は農村集落の瓦屋根のつらなり、雑木林、手入れされた田畑などに心奪われている私です。

 

さて、本題に話を戻します。

早速僕は焚火台を購入します。

メーカーはいつも信頼のスノーピークです(笑)

ちょっと高いのですが、なんせ壊れない。よく考えられているなあと感心します。

 

次は焚火をする場所ですが、探すとなかなかいい場所がないんですね。

素晴らしいロケーションのほとんどが焚火禁止の看板が立っているかトイレや水が整備されていないという感じです…

そんな時に偶然声をかけてくれた施主さん。

良かったらうちの庭でやってみませんか?とのこと。

お仕事させていただいたF様邸は庭があり果樹が数種類植えられていて、初めて焚火するにはいい練習になると思い、お言葉に甘えさせてもらう事にしました。

この焚火台、調理器具も用意されており、グリル、鉄板、などが用意されています。

試しにサンドイッチ、目玉焼き、焼き林檎?お湯を沸かして珈琲。

などに挑戦してみました。

なかなかいい感じです。

目玉焼きが焼けること

お湯が沸くこと

ウィンナーが焼けること

どれも普段の生活の中では当たり前のことなのですが、焚火の火を使うことでとても贅沢なことのように思えてしまうのはなぜでしょう(笑)

F様どうもありがとうございました。

 

さて次はパブリックな場所で素晴らしいロケーションを探さないといけないと思い、休日に色んな公園、キャンプ場をめぐりました。

それでもなかなかいい場所に辿り着けません。

景色が良くない、トイレがない、火が使えない…なかなか条件が揃いません。

 

 

と今日も収穫なしかなあ…と思いながら最後にふらりと寄ったある公園。

何気なく園内を散策しているうちに

え!?ここすごい!と興奮してきました。

奇麗で広大な池、その周りを雑木林が取り囲んでいます。

冬なのでふかふかに積もった落ち葉を踏みながら木々の間を歩くのが楽しい。

雑木林を進むとやがて池のほとりに辿り着く。

そこには護岸工事のされていないありのままの自然な水辺が。

そして顔を上げ池を望むと遠くに水鳥が浮かんでいる。

美しい風景。

最近は人や車の通る水際のほとんどがコンクリート擁壁等で護岸工事を行っている場合が多いので、このような自然な水辺の方が逆に珍しくなってしまっている。

 

この公園はとにかく広い。

芝生の広場も数カ所あり、遊歩道もたくさん用意されている。

そして、肝心の焚火場所はどうか?

公園案内地図の看板を見ると指定場所で可能との記載が。

早速翌日に公園を管理している事務所に電話。

 

私「焚火で料理したいのですけど」

担当者「えっ?….焚火で?」

(中略)

担当者「つまりバーベキューということでしょうか?」

私「だいたい同じと思ってもいいんじゃないでしょうか」

 

ということで、なんとなくOKが出ました(笑)

前日までに電話で予約して、当日書類を書けば誰でも火気使用サイトが使えます。

当然水道もあり、奇麗なトイレも近くにあります。

しかもサイトの使用料が0円なのでいつでも気軽に来れるというのがいいですね。参加費が安く抑えられます。

ついにホームグラウンドならぬ、ホームパークと呼びたいくらいのいい場所を見つけました。

今まで3回程焚火をしましたが、まだこの公園全体の広さを把握できていません。それくらい広いんです。

火気使用時間が16時までなので、焚火終わりには行ったことのない場所、遊歩道をめぐり写真を撮るのがしばらくの楽しみになりそうです。

 

焚火料理も当初より随分進化を遂げているのではないかと思います。今では

ステーキソースを現地で作りステーキを焼いて食べる技術。

魚介スープを作り余りのスープでリゾットを作る技術。

特製タレにつけ込んだ鶏肉を焼く技術。

を会得し料理の幅も広がっています。


 

ガスコンロを使えば火力の管理も簡単で失敗しない運営ができるのでしょうが、焚火で料理をするということには他にない魅力があります。

まず暖かいです。

みんなで火にあたれば心も和み会話も弾みますね。

それと薪のはじける音。

聴いてると心が安らぐ感じがします。

なぜなんでしょうね?太古の記憶でしょうか?笑

最後に、この薪は家具工場から0円で貰ってきています。

ただ焼却されれば意味もない燃焼ですが、薪として燃やせば料理の熱源となり、僕らを暖める熱源となります。

もったいない精神でお金をかけずに楽しいことをする事は、知恵とネットワークとフィールドワークを重ねていくことでやっと形になります。

大変かもしれないけど、僕はこういうことがどうやら好きらしいです。

同時に、最近自分一人のできる事の限界も感じていて、焚火参加者にひとつ役割を与え、専念してもらう。

言い換えると得意な役職を与えそのスキルを披露してもらう様にして行こうと思っています。

 

ちなみに現在の職種、及び求人職種情報は下記のようなものがあります。

カメラマン 1名

バリスタ 2名

パティシエ 1名

ワインソムリエ 募集中

ブックソムリエ 募集中

ミュージックソムリエ 募集中

焚火の火加減管理士 私

シェフ 私 他1名

ミュージシャン 募集中

マッサージ士 1名

 

という感じです(笑)

そうやってみんなで一緒に最高に楽しい空間を設計する。

その空間の材料とは、人と火と料理と特技です。

 

そしてみんなで楽しんだ後は道具を片付け、遊牧の民のようにその場を去る。というのも好きです。

自然を借りる、使わせてもらうという感覚。

あまり人の都合の良い様に開発しないで、ありのままの隙間を使わせてもらう。

本当は池のほとりの雑木林の中で焚火したらもっと気持ちいいだろうなと思うのですが、下手すると火事になってしまいますからね(笑)

Facebookにも写真を載せているので、色んな人から「焚火部いいねえ」とか「最近焚いてる?」とか言ってもらいます(笑)

どうやらみんな焚火に興味があるみたいですね。

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先週末ですが3月1日、レディースアパレルショップQ♥高松店が

リニューアルオープンとなりました。

シーズンの立ち上がりにあわせてのリニューアルです。

レディースアパレルブランドの持つ独特の色彩が映えるよう白を基準としたデザインとなっております。

オープン前々日から、パステルカラーの春物の洋服が店員さんたちの手により棚に収められ

お店が『お店』らしく整っていく姿は毎度のことながら子が巣立っていくような少しさびしくも晴れがましい気持ちになります。

時間の少ない工事でしたので職人さんや監督さん、深夜までの作業、本当にご苦労様でした。

ただただ感謝です。

 

場所は南新町の商店街にあります。

丸亀町商店街G街区からも近いので、お近くを通られたときはぜひともお立ち寄りください。

明るくさわやかな店員さんが女性らしい可愛らしさと、ワクワクする様な楽しさに出会える春の装いを提案してくれることでしょう!!!

by ABE

 

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今回も「居酒屋 いいとも」さんについて。
店内でもよく目立っている「たれ壁」について解説しましょう。
たれ壁とは天井から降りて来て、頭上くらいの高さで止まっている壁の事を指します。
まず今回の改装の中で、客席部分の既存の天井は取り払うことにしました。
天井高を確保し、広がりのある空間の獲得と、天井の上にある鉄骨梁やデッキプレートむき出しの無骨な雰囲気を演出します。
鉄骨梁むき出しの無骨な雰囲気がいつも良いとは限りませんが、そうした場合の空間の完成形を頭の中で思い描き、またコスト的にどうなのかを検討した上で魅力的だと判断すれば決行します。
今回はそう判断しました。
 
一方、厨房側は既存の天井高で十分なのでそのままです。
つまり客席と厨房では天井の高さに差が生まれます。
それと厨房の収納不足を補うために先ほどの触れた「たれ壁」を作り、壁の厨房側に収納棚を設ける事にしました。
すると、客席側からはとても目立つたれ壁の壁面が誕生します。
デザインする側としては勝負をかける壁面であり、工事予算をかける壁面でもあります。
見るに耐える壁面はビニルクロスでは演出できません。
もっと主張のある素材で、主張のある方法で作らなくてはなりません。
そしてそれが初めて見るような素敵なものであれば一番いいですね。
つまり発明であること。
今回は木を使った方が上手くいきそうだという感じがしていましたので、それをどう貼っていくのか?という事を発明しなくてはいけません。
またコストのかかり過ぎることは避けなくてはいけません。
悩んで、悩んで。。。悩んだ結果、家具職人の工場で見つけた端材からヒントを得ました。
工場では様々な樹種を扱っており、その端材をランダムに積み上げてみたら面白い壁になるんじゃないかと考えました。
工事当日現場入りして、用意してもらった素材の樹種を確認。
タモ
チェリー

ニヤト
ホワイトアッシュ
ヒバ
ウォールナット
アガチス
たくさん種類があります。

下の方から一本一本貼上げていくのですが、厚みや樹種がいい感じでランダムになるように即興で職人さんに指示していきます。
失敗して貼り直しになるのだけは避けたいので、それはもう。。。すごい集中力です(笑)
 
職人さんと夢中になって作り上げたこの壁。
貼り終わって気付けば7時間も経っていました。
体力、精神力共に疲弊しきっていましたが、非常に思い出深いものになりました。
施主さんにも大満足して頂けたので、挑戦して良かったと思います。
「想像を超えました」と言ってもらえることが一番の喜びであり、そう言ってもらえる為に僕は仕事をしているのかもしれませんね。
つづく…
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初めまして、設計チームの中村です。
ここでは私達がどのような考え方で建物の設計をしていくのかという過程を解説することによって、皆様が建築の面白さを身近に感じ、興味を持って頂けたらという思いを込めて、なるべく分かりやすく解説、自慢(笑)をしていきたいと思いますのでどうかよろしくお願いします。
まずは最近の作品「居酒屋いいとも」について解説してみたいと思います。
改装前の「いいとも」さんの写真です。
打ち合わせの中で出てきた要望を大まかに挙げると。
1.複雑な厨房動線を簡素化して働きやすくしたい。
2.厨房が壁や棚で囲われているので、お客様とのコミュニケーションが取れないのを改善したい。
という2つの要望でした。
デザインは後で何とでもなりますので、まずは施主さんの要望を満たし、且つお客様目線で平面計画を考えます。
今回の解決方法は以下の通り。
1.厨房の複雑な動線をまっすぐな動線に変更。そして以前より細長くなった厨房にカウンター席を沿わせるプランニングとした。
2.厨房内に散りばめられてた収納群により目線の抜けが悪かったので、収納スペースを集約、増設し、オープンキッチン寄りに変更。
要望はこの2点で解決しました。
あとはデザインです。
施主さんからは「おまかせします」という感じでしたので、自分の頭の中にストックしていた「やってみたいこと」を引き出してみようという感じでデザインしてみました。
私もそこそこに年を重ねました。
もう若くはないです(笑)
若い頃はシンプルなものに憧れて建築のデザインらしきものをしていましたが、今ではもうその方向にあまり興味がなくなってしまいました。
これからの自分がやってみたいデザインの方向性は、 上手く言えませんが「一癖あるもの?」という感じです。
シンプルで当たり障りのないものではなく、何かしら心に残る、記憶に残る。そんな感じのデザインをしていきたいという感じです。
その他にも気を付けている事が幾つかありますが、折に触れて 発言していきたいと思います。
この時、なんとなく自分の頭の中にあったのはレトロ感。
それを魅力的に表現したいという感じでした。
では部分的に解説していきましょう。
今回はまず壁をどうにかしたいと思いました。
既存の壁の状態は床用の複合フローリングが貼られ、所々にお酒を陳列している棚やドリンク用の冷蔵ショーケースが置かれているという状況で、見た目には少々乱雑に見えてました(施主さん、ごめんなさい笑)
またこの店舗の建物本体は鉄骨造3階建てであり、この1階である壁には鉄骨柱の立っている箇所が4箇所出っ張っていました。
この目立つ壁面を意匠的にお客様のつかみになるものに変えてみたいと思いました。
そこで考えたのは、木のルーバー(縦格子)仕上げです。
まず既存の壁は黒く塗ります。とりあえず解体しないのでお金がかかりません。
塗装費だけです。そしてその上に間柱を半割にした木材を隙間を空けて貼っていきます。
規格流通材なので安価です。
問題の壁の出っ張りですが、出っ張ったところを隠すように木材の取り付け位置を調整してしまえば、木材の方が主張するので目の錯覚でほぼ見えなくなります。
既存壁を黒に塗った理由は木材の色とのギャップを生じさせ、木材の方をきちんと視覚的に浮かび上がらせるためです。
既存壁に木製ルーバーのフィルターをかけることで、壁の意匠性を高めつつ隠したい壁の出っ張りもカバーするという一石二鳥。
優秀な設計とは時には一石三鳥、四鳥も狙っていくのものだと思います。
しかもローコストで実現可能であること。
お金をかければ何でもできますが、限られた予算で最大の効果を出せるということは、とても大切な設計のバランス感覚です。
次回は他の部分について解説していきます。
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イーグルハウス設計チームのブログがはじまります。

デザイナーならではの視点で仕事や日々のことを綴っていきますので

ぜひご覧ください。

 

 

 

 

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豊かな暮らしを提供します。『Eagle House』

それぞれのクライアントにとって最高の居心地のよさを作り出すイーグルハウスを支える2人のデザイナーの日々の記録です。

株式会社イーグルハウス興業
香川県高松市高松町2306-3
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Profile

中村イラスト
中 村
高知県梼原町出身。77年生まれ。一晩でテキーラを21杯飲んだ男。
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安 部
丸亀市出身。77年生まれ。燻製にはまっている男。
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